アメリカ航空業界の規制緩和の経験:倒産する企業と生き残る企業

文責:野口絵未

アメリカの航空業界は規制緩和によって、50件以上もの企業の合併統合、176社の新航航空会社の設立と、200件もの破産・倒産を経験し、今に至る。しかしながら1926年から1993年にかけて航空産業は確実に成長し続けている産業のひとつなのである。

アメリカ航空産業の経験を観察することより倒産する企業に何らかの特徴、もしくは共通点が存在するのだろうか、という点に着目し、研究を通して倒産する企業、そして生き残る企業の特徴などについて自分なりの法則性を見つけだし、何故そのようになったのかについて考えていきたい。そして規制緩和によって航空産業がどのように変化し、デルグ前と比べて改善されたかどうかについても検討していきたいと思っている。

現段階ではエアラインの年鑑誌などの資料をもとに米国航空産業の現状について調べ、どのような企業が存在し、それらの企業に共通する特徴や経営の内容を観察している。様々な要素があげられるが、その代表的なものは 労働生産性の高さ、コストを削減の努力(ハブ・アンド・スポークの活用や予測誤差の最小化)、ネットワークの規模(FFPや大型CRSの起用)、価格競争力、イールドマネージメントなどである。これらの要素がどれだけ規制緩和の影響を受けているか、回帰分析なども用いてその因果関係を明らかにしていきたいと思っている。

また規制緩和によって如何に航空産業が改善されたかに関してはスティーブン・モリソン/クリフォード・ウィンストン著の「規制緩和の経済効果」とP.S.デンプシー/A.R.ゲーツ著「規制緩和の神話」をもとに産業構造、運賃、サービスの品質、利潤、安全性の五つの項目より考察していきたいと考えている。