首都圏及び関西圏における鉄道利用者の動向

 

経済学部 矢野誠研究会 4年

米江 貴史

 

1. 問題意識

 

 昨年12月の京都・神戸におけるインゼミの後、私を含めた数人は神戸から嵐山へ行くことになった。いざ移動という時、JRを利用するか、私鉄を利用するかで意見が分かれたのである。通常、地元の人間は運賃の安い私鉄を利用するが、この時はJRで行くことになった。確かに京都まではJRの方が速いが、京都駅で乗り換えを含めて30分待たされるうえ運賃も高い。これに対し、私鉄の方は乗り換えの際の接続が良いため速く、運賃もはるかに安い。

 何故安くて速く、サービスの質の高い私鉄ではなく、運賃の高いJRなのか。

 私が気付いたのは私以外の人間は首都圏出身者である、ということであった。鉄道利用者に関しては、首都圏の利用者と関西圏の利用者との動向には違いがあるのではないか、と考え始めたのがこのテーマの発端である。

 興味深いことに、首都圏と関西圏の鉄道の路線形態には類似点がある。形態のみならず、競合路線についても首都圏では京浜間、関西圏では京阪神間でそれぞれ激しい競争が繰り広げられている。

 しかし、鉄道各社のサービスの質とその利用者の動向は、首都圏と関西圏ではどうやら異なるようである。本論文では首都圏及び関西圏において競合区間を持つ鉄道各社のサービスと、その利用者の動向とをともに取り上げて比較し、経済学的考察を図る。

 

2. 方法

 

 本論文のテーマは消費者の動向ということであり、消費者が選択可能な路線を対象とする。首都圏では京浜間、関西圏では京阪間、阪神間を対象とし、比較・分析を行う。

 始めに各対象路線に関する歴史や背景を示し、現状として鉄道のような一般に独占色の強い産業において、競合している各社がどのようなサービス(運賃や時間、快適性など)を施すことによって、利用者の獲得を図っているかについて述べる。独占的な営業を行っている鉄道会社の場合との比較も行う。更に、身近な人々の利用者としての感想や意見もここでとりあげる。

 この後、各社最新の利用者数のデータを収集・分析し、サービスの変化との相関関係について経済学的考察を図る。これが本論文の骨格を成すものと考えている。

 最後には結論に加えて、利用者への提言も行う予定である。この提言において、地域ごとにどの会社を利用するのが最適かという“生活便利帳”に代わるものができれば面白いであろう。

 

3. 進行状況

 

 現在、本論文の根幹となるデータの収集、及び経済学的考察を図るための手法を探っている。経済学的考察のための手法とは経済理論を利用したものである。分析に最適な理論を探っているために時間がかかっているが、この作業は本論文作成において最も重要なものであり、おのずと時間を要するものであると考えている。ここでの目途が立てば執筆は加速するであろう。

 今後は引き続き、理論分析に関連した作業に取り組む。

 なお、対象路線の説明に関連する作業については、完了しつつある。