ユダヤ人のネットワーク−宗教と商業−


尾崎 真央(経済学部4年)
指導教員:羽田 功

要旨

本論は歴史上見られるユダヤ人のネットワークについて、宗教と商業という観点から捉え、そこにユダヤ人のアイデンティティを保持する仕組みがあった、ということを明らかにするものである。

論文の流れとしては、ネットワークとは何かを述べた上で、ユダヤ人のネットワークはそれとどう異なるのかについて、宗教面と商業面から検討を加える。

宗教面では宗教上の質疑のやり取りであるレスポンサを中心に検討し、これが結果としてユダヤ人の結びつきを強め、そのアイデンティティ保持に寄与したことを明らかにした。商業面ではユダヤ人の商取引に関わる商業ネットワークについてイスラムネットワークとの比較、ヨーロッパの視点から追究した。

以上の考究からユダヤ人ネットワークが歴史上においては独特な性格を持つこと、またそれがユダヤ人アイデンティティの維持に役立つものであったことを結論とした。なお、本論は文献による研究である。時代については古代から中世後期を対象としている。