江戸末期の日本橋絵巻、煕代勝覧の世界について-屋外広告の変遷の原点を探る-

[自発展開型]
廣野まゆ子(経済学部3年)
指導教員:伊藤行雄

要旨

1805年に成立したといわれる 日本橋繁昌絵巻『熈代勝覧』。この絵巻には約200年前の日本橋が詳細に描かれており、当時の景観の統一美をうかがうことができる。この『熈代勝覧』にみられる屋外広告である暖簾や看板はいったいどのようにして形成されたのだろうか。第一章では平安時代の東西市によって発生した看板と民間で発生した暖簾についてそれぞれの商業的背景をもとに論証する。第二章では鎌倉から室町時代の絵『洛中洛外図』と『南蛮屏風』をあげ、そこから見られる暖簾と看板が商業と外交から受けた影響について考察する。第三章では江戸時代に描かれた 日本橋繁昌絵巻『熈代勝覧』に見られる景観がどのようにして成立したのかを、この景観の構成要素である暖簾、看板、町屋、町割の視点と時代的背景を踏まえ明らかにしていく。そして本稿はこの三つの章を通じて、日本橋繁昌絵巻『熈代勝覧』に描かれる町並みの美しさ、統一美を考察する。