輸送機関の高速化がもたらすストロー効果の測定

[誘導展開型]
田口裕大(経済学部3年)
指導教員:長田 進

要旨

本論文は,輸送機関の高速化がもたらすストロー効果を本州四国連絡橋(瀬戸大橋)の事例を踏まえて測定することを目的とする.ストロー効果とは,交通機関の発達による所要時間の短縮によって,商業や産業面で比較優位のある都市が,他都市の活力を吸い取ってしまう効果のことである.モデルを用いてストロー効果を測定するため,さまざまなモデルの比較検討を行う.その後,時間や分析対象主体の変化に柔軟性のある指数型ハフモデルを用いて,時間の短縮と小売業の盛衰の関係を明らかにしていく.瀬戸大橋の事例では,開通による時間短縮効果により消費者の買物行動における商業集積地の選択頻度が,開通以前と開通後で変化することに着目した.その結果,ストロー効果を説明づける選択頻度の変化があったことを示す.