日中戦争泥沼化への道 〜自国の権益に固執しすぎた日本の悲劇〜

[誘導展開型]
一憲佑(経済学部3年)
指導教員:宇振領

要旨

日中間の歴史問題を考える上で不可避となる「日中戦争」について、本稿は、この戦争が泥沼化するに至る要因・背景について、多角的に分析することを目的としている。

まず、本稿の導入的な位置づけとして、日中両国の近代の歩みを概観し、第一次世界大戦前後の国際情勢の流れを検討した。それを踏まえて、日本側の直接的な主要因を2点(①軍部の政治的進出、②経済的要因)取り上げ、中国側の背景(=国民党・共産党の成立から、抗日民族統一戦線の結成がなされるまで)について言及していく。

このテーマを分析することにより、次のような結論がでてきた。すなわち、日本は、満蒙権益の死守、そしてさらなる中国大陸での利権拡大に固執し、「中国統一」を阻止しようとしたこと、一方の中国は、「中国統一」の達成を悲願とし、国内のナショナリズム・反日感情が高揚していたことが両国の衝突を必至なものにしていったのである。