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キャリア
相田政志 写真1

経済産業省 中小企業庁
相田政志

修士課程で学ぶなかで、社会の役に立ちたいという目標が固まった。

経済学をどう使うのか、研究者の視点で知りたくなった。

『中小企業白書』を作成する調査室に所属し、日本経済の概況を調査・執筆するほか、政策決定などで中小企業の景況が取り上げられる際の、資料およびデータの収集・提示も任されています。
学部時代から政府の政策決定プロセスに関心があり、公務員が第一志望でした。そんな僕が修士課程を意識したのは、大学3年の秋。ゼミで経済学史を学ぶうち、経済学を具体的にどう使うのか、その方法論を学びたいと思い始めたのです。
修士課程では、かねてから関心があった「労働経済学」を専攻。学部時代と違い、先生方は「プロフェッショナルを育てる」というスタンスで学生に接してきま す。厳しさはありましたが、反面、親身に相談に乗ってくれる面倒見のいい先生ばかりだったので、能力を最大限引き出してもらえたと感謝しています。

研究をすればするほど「働きたい」という意欲が高まる。

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僕が選んだ修士論文のテーマは、「成果主義の問題点」です。経済学的には、人はお金に反応して動きます。その観点からすると、成果主義はとても効率 的な考え方だと言えます。ところが、実際はそうとは限らない。例えば、嫌いな上司に「給料を増やすから、仕事を余計にやれ」と命令された場合、給料が増え るならやろうと思う人がいる一方で、「あの人の言いなりたくない」と、かえってモチベーションが下がる人もいる。ということは、お金に反応するという従来 の経済学の理論は成り立たないわけです。
「経済学で、成果主義にアプローチする方法はないだろか」との思いから、いろいろな文献を調べたところ、僕の考えに合う「お金だけで動かない可能性」を唱 える理論がようやくみつかりました。その理論を応用して “成果主義の手助けになるような、より現実的な手法”を見つけたいと考えたのです。
就職するにあたっては、博士課程に進もうかという考えもよぎったことはありましたが、「一度は社会に出て、国の制度がどう作られ、それがどのように社会に インパクトを与えているのかを見てみたい」という気持ちが高まり、当初からの希望だった公務員を目指す道を選んだのです。論文の方向性が定まった修士1年 の終わり頃は、政府機関の採用説明会が始まった時期でもあり、両立するのに苦労しましたね。研究と就職活動、どちらか一方に比重がかかるのはよくないと考 え、たとえば午前中は研究に没頭、午後は就職活動に専念というように区切りをつけるやり方で、忙しい時期を乗り切りました。

国民のために。その目的がモチベーションの源。

修士課程で研究したことが今の仕事で直接的に生かされているということはまだありませんが、経済学的に物事を見るトレーニングができたことは大きな 糧になったという実感は日々あります。今の仕事では、政策を批判的に捉える視点も必要とされるのですが、その際、修士時代に育んだ見方がとても役立ってい るからです。
社会人になってしばらくした頃、「なぜ働くのだろうか?」と、自問自答したことがあったんです。僕が携わっている仕事は、毎日のように苦労があるにも関わ らず、成果はすぐに見えにくい。それでも頑張れるのはなぜだろうか、と。そして突き詰めたところ、「国民や社会の役に立ちたいという、明確な目標があるか ら頑張れるんだ」と、自分の気持ちを再認識できました。
もしも、興味のない企業に就職していたとしたら、本当はここで働きたくなかったという不満が常にあって、やる気を保てなかったと思います。けれど今の僕 は、国や国民の役に立つことを願って、自ら選んだ場にいる。選択に納得感があるから、仕事の満足度が高いのかもしれません。そして、この確たる目標を見つ けることができたのは、慶應の修士課程で興味を持った分野の研究にとことん取り組めたからこそ、なのです。

(2008年10月22日取材)

※プロフィール・職名はインタビュー当時のものです。

プロフィール

2006年3月

早稲田大学政治経済学部卒業

2008年3月

慶應義塾大学大学院 経済学研究科修了(経済学修士)

2008年4月

中小企業庁(現職)

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