学部カリキュラム
学ぶ意欲を高め、経済学的思考の総合力を養う
経済学部における教育の目的は、不確実性と多様性がますます増加する世界で活躍する先導者を育成することです。この目的を念頭において、経済学部のカリキュラムは、知識と論理的思考力の双方を身につけることができるように構成されています。
異なる「学びの入り口」
経済学部第1・2学年の学生は、日吉キャンパスで一般教養と経済学の基礎を学びます。そのカリキュラムには、「学びの入口」を二つ用意しています。すなわち、履修タイプA(経済理論・数学先習型)と履修タイプB(経済実態・歴史先習型)です。履修タイプAは一般的な前提から出発して論理的に答えを導く演繹的手法を、履修タイプBは経験的事実の教訓に学びつつ事実の積み重ねから知見を獲得する帰納的手法を、それぞれ中心的に学ぶカリキュラムです。いずれのカリキュラムも、第3・4学年に三田で、より専門的な科目を履修する準備段階となります。
このように入口を二つもうける理由は、三つあります。
第一に、経済学を用いて論理的に考える能力を身に着けるためには、演繹的方法も帰納的方法も重要です。第二に、学生一人一人が、より得意な、あるいはより興味を持てる手法にまず学習の重点を置くことで、学ぶ意欲が高まり、大きな学習効果が得られます。第三に、二つのカリキュラムに分かれて学んだ学生が、三田で演繹法を重視する科目も帰納法を重視する科目も一緒に学ぶことで、シナジー効果が生まれます。こうしてすべての学生が、4年間をかけて二つの手法を異なる重点をおきながら習得し、社会で役立つ経済学的思考の総合力を養うことを目指しています。
日吉における二つの履修タイプ
第1・2学年における履修タイプAと履修タイプBは、入試方式に対応しています。A方式入試に合格した学生は履修タイプA,B方式入試またはPEARL入試に合格した学生は履修タイプBのカリキュラムで学習を始めます。ただし、PEARLの学習はすべて英語です。
履修タイプA(経済理論・数学先習型)
このタイプから経済学の学びに入る学生は、第1学年において「微分積分」「線形代数」を必修科目として履修します。そして数学的・演繹的手法の学習を深め、経済分析のための理論的ツールを習得していきます。
履修タイプB(経済実態・歴史先習型)
このタイプから経済学の学びに入る学生は、第1学年において「日本経済概論」「歴史的経済分析の視点」を必修科目として履修します(「経済学の視点と技法を学ぶ」参照)。
履修タイプで変わるミクロ経済学、経済史の学習
マクロ経済学と統計学は二つの履修タイプ共通に学びますが、ミクロ経済学と経済史については、それぞれのタイプに応じて、「履修タイプA(経済理論・数学先習型)」ではミクロ経済学を、「履修タイプB(経済実態・歴史先習型)」では経済史をより深く学びます。なお、履修タイプBに所属する学生でも、必要に応じて数学の基礎知識を身につけられるように、選択科目を用意しています。
いずれの履修タイプでも経済学的思考の総合的能力の基礎を養う
学びの入り口において、学習のウェイトに違いがありますが、いずれの履修タイプにおいても、経済学的思考の総合的能力の基礎を身につけられるようなカリキュラムを用意しています。
日吉キャンパス(第1・2学年)のカリキュラム概要
この他の履修可能な科目、他学部・他大学との単位互換制度などについては、履修案内・講義要綱を参照してください。
日吉キャンパス(第1・2学年)の授業紹介
異なる入り口から入った学びは三田で一つに合流
三田キャンパスで学ぶ第3・4学年の専門課程では、二つの異なる入口から入った学びは一つに合流し、同じカリキュラムのなかで、各自の関心に応じて学びを組み立てることになります。
経済学部の10の専門分野
三田キャンパスの専門課程では、経済学の体系を大きく10の専門分野に分けています。
A 経済理論 |
B 計量・統計 |
C 学史・思想史 |
D 経済史 |
E 産業・労働 |
F 制度・政策 |
G 現代経済 |
H 国際経済 |
I 環境関連 |
J 社会関連 |
これらの分野は、経済学部の専門教育の中核となる科目群(専門教育基本科目)に対応しています。そして、経済学教育において各自の専門を深めつつ幅広い視野を確保するため、経済学部では10分野の中から3分野以上にわたって科目を履修することを求めています。
3つの柱
三田キャンパスでは、自分の目標と関心に沿って、(1)研究会 (2)PCP (3)研究プロジェクトの3つの中から学習の中心となる柱を選択し、選択した柱に従って、卒業論文の執筆、英文エッセイの提出、研究成果の発表を行います。すなわち、研究分野の内容と学習の目標に応じて、少人数による学習に3通りの筋道が用意されているわけです。これが、慶應義塾大学経済学部カリキュラムの最大の特徴の一つと言えるでしょう。
ゼミナール(研究会)
少人数クラスで2年間専門分野を学習し、卒業論文を執筆します。
Professional Career Programme(PCP)
2年間の英語によるコースワークにより、海外留学や専門大学院進学などに向けての基礎力を養成します。
研究プロジェクト
自ら研究テーマを選び、専任教員の個別指導の下、1年間で研究成果を提出・発表します。
三田キャンパス(第3・4学年)のカリキュラム概要
この他の履修可能な科目、他学部・他大学との単位互換制度などについては、履修案内・講義要綱を参照してください。