経済学の視点と技法を学ぶ:基礎教育科目
履修タイプA
日吉キャンパス
第1学年 | 第2学年 | ||
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春学期 | 秋学期 | ||
必修 |
線形代数 |
微分積分 |
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選択 |
日本経済概論、歴史的経済分析の視点、微分積分入門、線形代数続論、情報処理Ⅰ、情報処理Ⅱ、情報処理Ⅲ |
履修タイプB
日吉キャンパス
第1学年 | 第2学年 | ||
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春学期 | 秋学期 | ||
必修 |
日本経済概論、歴史的経済分析の視点 |
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統計学Ⅰ |
統計学Ⅱ |
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選択 |
数学概論Ⅰ、数学概論Ⅱ、微分積分入門、微分積分、線形代数、線形代数続論、情報処理Ⅰ、情報処理Ⅱ、情報処理Ⅲ |
なぜ数学が必要か――演繹的思考の基礎
経済学を本格的に3、4年生で学ぶためには、まず1、2年生の間にいくつかの門をくぐり、より深く経済学を理解するための技法を身につけることが大切です。「履修タイプA(経済理論・数学先習型)」では特に数学的・演繹的手法の学習を課していますが、数学はなぜ必要なのでしょうか? 経済の成長や市場のメカニズムなど、経済の基本的な事項を記述するために数学が用いられています。経済学を学ぶ際、数学はある前提から出発して厳密かつ論理的に答えを導く演繹的思考を行うツールです。法則性をもつ経済学の理論を理解するためには微分積分などの数学を理解しておくことが重要なのです。
「履修タイプB(経済実態・歴史先習型)」においても、必要に応じて数学の基礎知識を身につけられるように選択科目を用意しています。また、経済理論の授業は、高等学校までの数学の必修レベルの内容を押さえていれば、十分理解可能なように工夫されています。
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歴史的事実や現実経済から課題を探りあて分析する
「履修タイプB(経済実態・歴史先習型)」では、時系列的・横断的な広がりをもった視点や現実経済から課題を探りあて分析する力の養成にウェイトを置き、「歴史的経済分析の視点」と「日本経済概論」を必修に課しています。
「歴史的経済分析の視点」では、経済や社会の歴史的変化を単に通史的に追うのではなく、様々な視点から分析する方法を学びます。過去から現在にいたる実態の積み重ねを様々な方法で捉えながら、未知の領域に挑むための柔軟な思考力を育てます。
「日本経済概論」では、日本経済に関わる事実や実際の経験から学び始めます。この授業の目的は、複雑な現実の経済を把握し、政策的示唆を得るには論理性や理論的枠組みが必要であることを、みなさんに理解してもらうところにあります。
帰納的思考と演繹的思考のいずれを欠いても、車は一輪になってしまいます。そこで「履修タイプA(経済理論・数学先習型)」に属する学生もこれらの科目を選択科目として履修できるようになっています。
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統計学とは―互いに補い合う統計学と経済学―
私たちの社会には好況期や不況期が訪れ、それにともない様々な問題が起こります。こうしたなか、経済学の目的として次の二つを挙げることができます。第一に生産や消費などの変化が起こる仕組みや法則性を明らかにすること、第二にこの法則性を用いて経済の実態を望ましい状態に統御するための方法を考えることです。三田の3、4年生時にこうした研究を行う準備のために、日吉では統計学を学びます。
上記の経済学の目的を達するためには、統計学と経済学は互いに補い合う必要があります。統計学とは、まず観察事実の記述や理解の方法を示すこと、つぎに偶然が作用する現象の中に関係性を見出す方法を示すことです。前者は、たとえば所得や賃金などには大きな散らばりがありますから、その状態を記述し理解する方法です。後者は、たとえば婚姻が成立するかは、個々で見れば偶然が支配しているように見えますが、多くの場合を観察すれば婚姻の成立と賃金や物価などの間には「関係がありそうだ」ということが古くから知られており、こうした関係性発見の方法を示すことも統計学の役割です。
この関係性ですが、統計学の方法が示すことができるのは「相関関係」であって、「因果関係」の認識は経済学などの経験科学における理論によって与えられます。因果関係の認識はまず「仮説」として提示され、つぎに観察事実がその仮説に反証を与えていないか検証します。この検証の方法が統計学によって可能になります。そして繰り返し検証を通過した仮説を「法則」と呼んでいるのです。経済現象に潜む法則性の把握と、その法則性に基づいた経済の統御という経済学の二つの目的は、統計学と経済学が互いに補い合って初めて達することができるのです。