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カリキュラム

授業紹介:数学

数学基礎教育科目|数学

「有形において数理学と、無形において独立心と」

「先生、今度の期末試験で証明は出題されますか?」「計算と証明を半々の割合で出題します・・・。」毎学期の期末試験が近づいてくると、塾生(慶應義塾では,通常「学生」一般を「塾生」と呼び習わす習慣があります)と数学教員の間で必ずといってよいほど交わされる会話の一部です。苦手な証明問題を出来れば避けたいという心情の吐露ですが、経済学部に入学してみて、数学関連科目に予想以上に多くの時間と労力を費やさなければならないことに違和感を感ずる学生を少なからず見受けます。「なぜ経済を学ぶのにあまり得意ではない数学、しかも証明問題まで勉強する必要があるのか?」という疑問は至極当然かもしれません。

今から150年以上前、慶應義塾を創設し、日本を近代国家として独り立ちさせるためのグランドデザインを構想・敷設するに際して先導的役割を担った福澤諭吉は、その自伝において、当時の世界における欧米諸国の優位性の由来が「有形において数理学と、無形において独立心と、この二点である」ことを見抜き、義塾の教育の基軸として、独立自尊の思想とともに「数理学」の習得を重視したと述べています。ここでいう「数理学」とは、「数(Number)」と「理(Reason)」に基盤を置く学として、広くは実証科学を意味しますが、数学に即して言うならば「計算(Calculation)」と「証明(Proof)」とみることもできます。現在に至る慶應義塾の数学教育の源泉はこの独立自尊の精神に裏打ちされた「数理学」重視の気風にあるといえるでしょう。翻って経済学の進歩の現状を見ると、数学の果たす役割は時とともに深化・拡大しつつあり、福澤諭吉の、世紀を貫く透徹した先見性と文明への深い洞察力に改めて驚かされます。

経済学の学習の途上のみならず、経済学部に学ぶ多くの学生が取り組むこととなる卒業研究、とりわけ、卒業論文をまとめ上げる局面では、他からの借り物ではない「独自の論を立てる」ことが様々な形で求められます。この過程での足腰の筋力ともいえる基本的な能力の一つとして、数学における「計算力」とともに「証明を構成する力」があります。さらには卒業後、経済学部生の進路が様々に分岐するなかで、企業人として活躍するにせよ、公的機関での業務に従事するにせよ、学者としての人生を歩むにせよ、およそ経済学に関わって生きる現代人であれば、何らかの形で「独自の論を立て」、さらにそれを「責任を持って実行する」ことが大切な課題となることでしょう。その際に、経済学部で培った独立自尊のいわば「胆力」に呼応する形で、足腰の「筋力」としての数学の計算力と証明力とが、目に見えない仕方ではありますが、自らの基盤部分で確実に働いてくれていることを認識するはずです。

経済学部では、上に述べた数学教育の基礎性を踏まえ、履修タイプの違いにも配慮しつつ,高校数学の知識をほとんど前提としない形式のものから、最新の経済学の動向に対応しうる高度な数学を解説するものまで、幅広いレベルの講義を提供しています。様々な数学力の背景を持った受講者を柔軟にカバーする態勢を整えるとともに、多くの授業において「自ら手を動かして考える」十分な演習の時間を組み込むことで、理論・実践の両面から数学に取り組む喜びを感じてもらえるよう配慮しています。

義塾経済学部で数学教育に携わるスタッフ一同、学生の皆さんが様々な数学科目の履修を通じて、経済学を展開する道具として数学が絶妙に機能する醍醐味を味わってもらえるよう、さらには卒業後も、福澤諭吉のいわば直系の弟子としての先見と洞察の気概を持って、在学中に培った数理学の力に裏打ちされた独立自尊の精神に支えられ、自らの、日本のそして世界の未来を力強く真っ直ぐに開拓していただきたいと、心から願っています。

(経済学部・数理部会)

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