

授業紹介:経済理論

専門教育基礎科目|マクロ経済学初級/ミクロ経済学初級/ミクロ経済学入門
経済モデルを駆使して、現実経済を分析する。
理論経済学は、複雑な現実経済を分析するために抽象的な理論モデルを構築し、そのモデルの性質を調べることによって、現実経済の動きに対する洞察を得ようとする学問です。つまり、複雑な現実経済を抽象化して捉えたものが理論であり、理論は現実経済を理解するための地図なのです。理論の理解ができてはじめて、経済現象を「説明」することができるようになるといえるでしょう。
モデルを構築する際の考え方の違いによって、理論経済学は伝統的にミクロ経済学とマクロ経済学に分類されますが、最近ではどちらの分野でも経済主体(家計、企業、政府などの意思決定主体)の最適化行動に基礎を置いてモデルが作成されるようになり、そのためミクロとマクロの方法論上の差異は縮まってきています。また、ゲーム理論、契約理論といった分析道具も、近年の理論経済学の研究には欠かせなくなってきました。
なお、理論モデルを分析するときには、しばしば数学の論理が使用されます。なぜなら、数学を用いると、推論をすばやく、しかも正確に行うことが可能になるからです。例えて言うならば、言葉だけを用いて推論することが徒歩で目的地にたどり着くことに対応し、数学を用いて推論することは電車に乗って目的地にたどり着くことに対応する、といった感じです。つまり、数学を用いることはそれだけ時間を節約することになりますが、間違えた電車に乗ってしまえば、目的地とは似ても似つかない別の地点にたどり着いてしまうこともあるということです。そのため、理論経済学を研究するときには数式に惑わされて変な結論を得ないように、数式展開を暗記するだけでなく、その内容を理解することが求められます。しかし、いったん数学的推論に慣れてしまえば、だれの目にもあきらかな形で推論を進めることができるので、これほど便利なものはありません。
(教授 須田 伸一)