存在論的安心の喪失:1990年代の社会問題におけるポストモダニティ
[自発展開型]
米澤 翠 (経済学部3年)
指導教員:ノッター, デビッド
要旨
1990年代の青少年の逸脱は、後期近代における不安を基礎としているという仮説を明らかにする。そのために、ベックの「個人化」と、ギデンスの「存在論 的安心」という概念を、主に使用した。後期近代において、選択肢が増加することで、再帰性や、自己実現、自己責任、リスク化と二極化が発生することを、 ベックは「個人化」と呼ぶ。個人化は人々に不安をもたらす。一方、後期近代におけるグローバル化によって世界が不透明になったり、人々の関係性が変容する ことでも、不安は発生する。これをギデンスは「存在論的安心の喪失」と呼ぶ。
1990年代において、この不安が青少年の逸脱という形で発現した、というのが本稿の外枠であり、第4章ではケーススタディとして具体例を取り上げ、実証的研究も行った。