

日本人と水の風景―江戸東京にみられる水辺の文化的意義―
[誘導展開型]
松永 侑子(経済学部4年)
指導教員:伊藤 行雄
2008年2月29日
要旨
本論は、風景論の視点を用いて東京における水の風景の文化的意義を探ることを目的としている。風景とは時間の流れや人間社会の発展とともに必然的に変化するものである。本論では、水の風景が変化していく歴史を通して、日本人独特の自然観や水辺に期待する非日常性が現代の日本人にも受けつがれていることが明らかとなった。いまだに庭園や昔ながらの水辺風景が残る東京において、現代は最も水の風景が多様化している時代であり、人々は新旧のさまざまな風景を見ることができる。
景観の美醜の評価が一種の嗜みとなっている昨今において、東京の水の風景はしばしば良し悪しの議論が分かれる格好の題材である。しかし、東京は水の風景の宝庫であり、存在する全ての風景に都市の新たな風貌を見つけ、無限の可能性を秘める点に文化的意義があるのではないだろうか。そうした多様な水の風景の発見により、人々の生活がより潤いのあるものとなることを確信している。