桂離宮に現れた建物の美と思想について―その隠れた秩序を探る―
[自発展開型]
山本 真紗子(経済学部3年)
指導教員:伊藤 行雄
2008年2月29日
要旨
桂離宮は17世紀中期にその創建を終えてから、耐えることの無い注目を現代まで浴びてきた日本伝統建築である。数多くの伝統建築を残してきた日本で、なぜこれほどまでに桂離宮という建築に集中して注目が集まるのだろう。そこには何か特別な歴史的背景、建築様式が存在するのであろうか。本稿では、桂離宮に潜んでいる謎を探りながら、現代にその建築の魅力がどのような影響を与えているのかを論及する。第一章では、桂離宮の建つ土地や周囲の環境、また創建に関わった人々について言及する。第二章では、1930年代に桂離宮をめぐった様々な言説を残したブルーノ・タウト、堀口捨己について言及し、どのような観点で桂離宮が評価されたのかについて論及する。そして第三章では、現代建築家に焦点をあて、桂離宮が現在どのような意義を持ち続けているのかを探る。本稿はこの三つの章を通じて、桂離宮が単に伝統を誇示する建築ではなく、現代においても創造のエネルギーを常に発信し続ける建築であることを明らかにしていく。