ホームレス自立支援―「自立」の実現への課題
[自発展開型]
坂本 陽子(経済学部3年)
指導教員:柏崎 千佳子
2008年2月27日
要旨
本論文の目的は、ホームレス自立支援のあり方について考察することである。近年ホームレスの人数が増加し、社会問題化している。ホームレス問題は個人的な問題ととらえられがちだが、産業構造の変化や不況などから社会的に生み出されるものである。2002年にホームレス自立支援特別措置法が成立してからは、自立支援のための施策が行われるようになったが、あまり効果が上がっていない。本論文ではホームレスを「ハウスレス」(=物理的貧困)であると同時に「ホームレス」(=社会や人との関係性を失った状態)であるととらえ、その上で、ホームレス支援において関係性の回復までを視野に入れた「トータルサポート」という考え方が必要であるということを論じる。そして、ホームレス支援の現場でのフィールドワークを通じて、実際にトータルサポートがどう実現されているのか、またその実現にはどのような困難があるのかを明らかにする。