押井監督は「自分」と「他者」の境界線を映像によって表現することに成功したのか
[自発展開型]
江田 泰高(経済学部3年)
指導教員:エインジ, マイケル
2008年2月28日
要旨
この論文では、最初の段階で、複数の押井監督作品を分析することで押井監督が最も表現したかった事柄が反映されている作品を見つけ出し、共通したモチーフの利用など押井守の監督としてのこだわりや一貫性を分析する。
その上で、「自分」と「自分」にとっての「他者」の存在を「攻殻機動隊」と「イノセンス」の二つの作品の中で明確にしながら具体的にシーンを挙げ、登場するモチーフについて分析を行う。そうすることで曖昧になった「自分」「他者」の境界線がどこにあるのかを考察していく。
また、主人公の持つ視点と「他者」との関わりの関連性に注目することで主人公が他の登場人物に対してどのように認識しているかを明らかにし、同時にそれぞれのキャラクターが異なった意識によって視点を形成している事実を突き止める。そうすることで、「自分」と「他者」の境界線が押井監督作品の中で表現することに成功したのかを検証する。