都市におけるオタク文化の位置付け―秋葉原と池袋を舞台とした比較研究―
[誘導展開型]
鈴木 彩乃(経済学部3年)
指導教員:長田 進
2009年2月27日
要旨
本論文は、特定の消費性向を持つとされるオタクが集まる大都市内の地域を分析することにより、消費者が都市文化の形成にどのような影響を与えるかについて明らかにすることを目的としている。
研究対象地域としては、オタク文化の中心地とされる東京の秋葉原と、一部で注目される池袋の二つを取り上げた。本論文では、オタク的消費者が訪れる店舗の空間的分布状況と、両地域で取り扱う品物の種類と量について比較を行うことで、次の二つの結果を得た。
第一に、秋葉原の空間的規模は池袋より大きいことが明確になった。第二に、池袋地区で取り扱う特定の女性向け商品の物量が、秋葉原を大きく上回っていることから、それぞれの地域が異なる特徴を持っていることが判明した。そして、両地域がこれらの特徴を得た経緯について、歴史的に調査すると、一見特別な関係を持たないと思われる両地域が、発展段階において相互に関係を持っていることが判明し、両地域が異なる性格を持つことは偶然ではなく必然であることが確認されたため、地域に集まる消費者が文化の形成に影響を与えると考えることが適切であると裏付けられた。