中国企業における道家思想の役割
[誘導展開型]
付 娯(経済学部3年)
指導教員:大平 哲
2008年1月19日
要旨
中国文化では、強制性を肯定する儒家の思想と自然のままで良いと主張する道家の思想が最も影響力をもつ古典哲学である。
本論文では、企業経営にかかわる古典哲学を研究対象として、儒家の思想と道家の思想を比較する。道教をうまく取り入れた企業が儒教の実践ができるという仮説を提示する。この仮説の適切性を示すために、儒家の思想と道家の思想の代表的な考え方をまとめ、両思想の相違を分析する。両思想は、対立するにもかかわらず、中国社会では、古くから儒道互補の処世術が上手く用いられてきた。儒、道は本質的に一致性がある二つの哲学である。儒道互補の思想とは儒家の思想の堅い部分と道家思想の柔らかい部分を巧妙に混ぜ合わせる哲学を意味している。儒家は礼儀と階級を重視し、仁と信を守るのが一番大事だと主張する。それに対して、道家のほうは柔軟性があり、儒家思想の理論的な部分を実際に実行する可能性が高い。
この発想を企業経営と結びつけるために、現代の中国企業の実例を出し、哲学と経営の関係を整理する。