メキシコ通貨危機
[自発展開型]
陳 楊(経済学部3年)
指導教員:大平 哲
2008年1月19日
要旨
この論文では、1994~1995年のメキシコ通貨危機が発生した背景、プロセスおよび発生後の影響を説明し、これまでの先行研究をまとめながら通貨危機発生の二つの理論モデルを整理する。一般的なSelf-Fulfilling Model(自己実現型)の視点とファンダメンタルズの悪化の視点の二つに分けてメキシコ通貨危機を分析する。
メキシコ通貨危機は、ポートフォリオ投資の割合が高すぎたので、自己実現の説で説明できると一般的に言われている。しかし、投機だけが原因で統計データの動きが急に変化したのであれば、そのデータは元のトレンドに戻るはずである。メキシコ通貨危機の場合、その動きは短期的に収束せず、10年以上にわたって同じ方向に変化しつつあるので、とても投機が原因での変化とは理解できない。
危機の発生から十年以上経った現時点からみると、ポートフォリオ投資による不安定化ではなく、短期的な要因よりも、実物要因による長期的な変化の調整過程として理解できる。