ゲーム理論による電子マネー市場の分析 -均衡選択理論と進化ゲーム理論による分析-
[自発展開型]
安達伸輝(経済学部4年)
指導教員:グレーヴァ香子
要旨
2001年にEdyとSuicaの二つの電子マネーが登場して以来、現在に至るまで、電子マネー市場には複数の電子マネーが登場してきたが、電子マネーがネットワーク財であるゆえに、一般的にその市場構造はある電子マネーによる一人勝ちの構図になると考えられている。本論文の目的は、電子マネーをめぐるゲーム的状況をゲーム理論によって分析することにより、将来の電子マネー市場を予想し、本当にそのような一人勝ちの構図になるのかを考察することにある。電子マネーゲームの分析に当たっては、EdyとSuicaの二つの電子マネーに注目し、2戦略の場合と3戦略の場合の二つのゲームモデルを作り、分析手段としては均衡選択理論と進化ゲーム理論を用いた。モデル分析の結果、電子マネー市場は簡単には一人勝ちの構図にはならず、複数の電子マネーが共存する構図になることがわかった。