総合型地域スポーツクラブは地域コミュニティを復権できるのか
[自発展開型]
神崎崇(経済学部4年)
指導教員:長田 進
要旨
2000 年に文部科学省が育成を決定した総合型地域スポーツクラブは、現代で失われつつある地域コミュニティを再び構築することができるのか、この疑問を解き明かすことが本論文の目的である。まず、総合型地域スポーツクラブを法的に根拠付けているスポーツ振興基本計画を俯瞰した後に、以前より全国各地に存在していた従来型スポーツクラブとの比較を行うことで、総合型地域スポーツクラブの意義を地域コミュニティの形成によって説明することが適切だと確認した。そして、総合型地域スポーツクラブに期待される効果をコミュニティの構造と照合した結果、以下の事実が判明した。第一に、地域コミュニティ復権によって育成されるとされていた主体的な地域住民とは、実際には地域コミュニティを形成するための前提条件の一つである。第二に、スポーツ上級者にとっての総合型地域スポーツクラブに参加する動機が、現時点では不明瞭である。そのため、総合型地域スポーツクラブの持続的発展には、現在とは異なったシステムを考案することが必要となる。