授業紹介:ドイツ語
外国語科目|外国語Ⅱ・ドイツ語
ドイツ語学習ノススメ
皆さんは、「ドイツ(語圏)」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
多くの方が、ビール、ソーセージ、ジャガイモと答えるかもしれません。ベンツやBMW、フォルクスワーゲンやポルシェのような自動車産業をあげる方も多いでしょう。年配の方であれば、ベートーベンやブラームの音楽、カフカやヘッセなどの文学を思い浮かべる方も少なからずいらっしゃると思います。近現代史に関心がある人ならば、ワイマル共和国のハイパーインフレからナチスの台頭、ホロコースト、そして敗戦を考えるでしょう。また、近年では環境への関心の高まりから、太陽光発電や風力発電の増強と原子力発電からの脱却もあがるでしょう。先進的な環境政策は、多くの国の見本となっています。
いずれにしろ、ドイツ語圏、特にドイツやオーストリアは、明治以来の日本にとって、医学、工学、法学、政治学、経済学、哲学、文学などにおける先進国として、英米、フランスとともに、常にお手本とする地域でした。確かに、第二次世界大戦後は、学問や文化の領域では、かつての華々しさは影を潜めた感があります。しかし、学問をきちんと歴史的にさかのぼって学ぼうとするときには、ドイツ語圏の研究成果は避けて通ることができません。
経済では、ドイツは日本に次ぐGDP世界第4位の国で、ヨーロッパの牽引車であることは誰もが知るところでしょう。また、シリアなどからの難民問題でも、ドイツの政治判断が世界に及ぼす影響は甚大です。このように考える時、日本の政治・経済・文化にたずさわる者のうち一定数が、英米中露だけでなく、ヨーロッパの中核をなす独仏に関心を持ち、その社会と文化を勉強して、しっかりとした認識を持つことは、日本全体の政治経済だけでなく、個々の企業活動にとっても必要不可欠のことでしょう。
経済学部では、一年次には週3コマ、二年次には最低1コマの第二外国語を学ぶことになっています。しかし、それだけで高いレベルに達することは難しいので、さらに力を伸ばしたい人は、三・四年次でも(また、外国語教育研究センターの授業でも)継続して学べるようになっています。ドイツ語圏の社会や文化をよりよく知るためには、やはり言葉を学ぶことが一番の基礎になります。言葉の成り立ちや使われ方の中に、それを使う人びとの考え方やものの見方が最もよく反映されるからです。
日本と世界の次世代のリーダーとなる経済学部の学生が、ドイツ語を学ぶことは、このように豊かな文化資産によって個人の人生を豊かにするばかりでなく、日本の政治経済の舵取りをする上でも、大いに役立つものとなるでしょう。ドイツ語学習を「ススメ」るゆえんです。
(教授 境 一三)