大手民営鉄道グループの沿線開発と郊外住宅地
[誘導展開型]
佐々木 博國(経済学部3年)
指導教員:長田 進
2008年2月29日
要旨
戦前、阪急と東急はその特別な関係から頻繁に沿線開発の方法を比較検討されてきた。しかしながら、その後両私鉄が沿線開発と街づくりの観点からどの ような変容を辿ったのかという点については、研究がなされてこなかった。そこで本稿では、郊外住宅地の定義や私鉄経営の中での郊外住宅地開発の位置づけな どを確認した上で、戦後復興期から昭和の終わりにかけての戦略と街づくりの実際を比較検討した。そして、昭和30年~50年ごろの住宅供給推進政策の下に おける住宅開発から、昭和50年以降の開発した住宅地の質を高めるという戦略への転換という大きな流れがあることを確認し、その中で戦前期と同じようにこ の両私鉄の沿線開発手法は近似している所が多いということを明らかにした。そしてその背景には、鉄道事業が高い社会性・公共性を有しており、政府の政策や 社会の変化に敏感に反応しなければならないという特徴があることを指摘する。