湾岸アラブ諸国の経済発展と先進国への依存
[誘導展開型]
川西貴大(経済学部4年)
指導教員:大平 哲
2008年2月23日
要旨
湾岸アラブ諸国経済を中心‐周辺理論に基づいて分析し、オイルショック以降、先進国への依存の度合いが小さくなったことを指摘する。
技術、資金、市場を持たず、自ら石油開発を進めることが困難であった湾岸アラブ諸国では、先進国の国際石油会社の進出がきっかけとなり石油生産が始まった。その結果、国内の中心産業は石油産業へと変化し経済発展の可能性が広がった。しかしその一方で、産油国は国際石油会社に石油の利益の大部分を奪われていた。さらに湾岸アラブ諸国の石油モノカルチャー経済への変化は国際石油会社による支配を強め、先進国への依存をより強固なものにした。これは中心‐周辺理論が論じる中心国と周辺国の関係としてみることができる。そのような状況の中、産油国の資源ナショナリズムが高まり石油ショックが起こった。これにより石油の価格決定権と利権を取り戻した産油国は国際石油会社からの直接的な石油産業支配を排除することに成功した。そして現在、湾岸アラブ諸国は脱石油を目指し、非石油産業や民間企業の育成など自立的な経済成長の道を模索している。