ヨーロッパにおけるユダヤ人迫害の歴史-西・中欧を中心に-
[誘導展開型]
武田 佳美(経済学部3年)
指導教員:羽田 功
2008年1月19日
要旨
本論文では、ユダヤ人迫害の変遷を分析し、ホロコーストにつながった経緯をゲットーの歴史に軸をおき研究した。ユダヤ人解放以後、ユダヤ人側、非ユダヤ人側に残っていた心理的・社会的境界―「見えないゲットー」―を考えることに重点を置く。
ユダヤ人迫害の歴史をゲットーの存在した16世紀から廃止に至る19世紀までとそれ以降の時代に分けた。
前半ではゲットーの設立された時代背景やユダヤ人に関する諸制度について研究した。後半はユダヤ人解放後のゲットー廃止以降の時代を扱い、ユダヤ人の存在する社会構造を検証し、そしてユダヤ人に対する非ユダヤ人たちの主張や主な反ユダヤ主義的な事件などからこの時代のユダヤ人たちへの差別の源はどこにあったのかを探る。
ここで中心になるのは反ユダヤ主義者たちによって唱えられた人種論である。彼らの主張には当時の反ユダヤ主義の中心をなし、その後のホロコーストやヒトラーにつながる要素が含まれている。