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教員インタビュー
神田 さやこ 写真1

教授 神田 さやこ
アジア経済史
南アジア史

素朴な疑問がライフ・ワークに。学問はそれを探求するための素晴らしき相棒。

研究テーマとその出会い

学生の時にシンガポールの「リトル・インディア」でインド世界と出会いました。すぐさまインドに行くことにし、航空券代が一番安いという理由で選んだのがカルカッタ(現コルカタ)でした。そこで「リアル・インディア」の強烈な異国感に強い衝撃を受け、「インドって何だろう?」という疑問がふつふつと湧いてきました。とりわけ、大英帝国の遺産の上にのんびりと寝っ転がる人々を見ていて植民地支配とは何だろうと考えるようになりました。ちょうどゼミを選ぶ時期でもあったので「インドの何か」を勉強できるところを探し、そこが経済史のゼミでした。

研究テーマの魅力、面白さ

この研究は18世紀後半から19世紀前半のイギリス東インド会社統治期のインド(とくに東部インド、現在のインド・西ベンガル州、ビハール州、オディシャ州とバングラデシュを含む地域)を対象としています。インドの政治・社会・経済が大きく変容する時期にあたります。それがどのようなものだったのか、植民地支配という枠組みではなく、塩という財の市場の変化について多面的に検討することから明らかにしようとしました。その結果、政策、財政、金融、環境、エネルギー、嗜好、法、儀礼、宗教・儀礼、経営、世論などさまざまな要素とそれらの相互作用が塩市場を変化させていたことが分かりました。「インドって何だろう?」という最初の問いに答えるには、多様な条件で変化する市場を時間軸で分析できる経済史はとても面白い学問だと思っています。

学生へのメッセージ

学生の時に出会ったインドと経済史という学問がその後の私の人生を大きく変えました。学生の皆さんにも、ぜひキャンパスを超えて「広い」世界にとびだしてほしいです。私の場合、それはインドであり、留学したイギリスでした。刺激的な人々に出会い、いろいろなことを学びました。もちろん外国だけが広い世界ではありません。学問でもその他の活動でも、いろいろとチャレンジしてほしいです。よく言うことなのですが、想像力と創造力——二つのソウゾウリョク——を身につけるのが大事なのではないでしょうか。私の場合、どちらも学生時代のゼミ活動や外国旅行・留学を通じて鍛えられましたし、それが自分の可能性を広げてくれたように思います。

(2017年12月取材)

プロフィール

神田 さやこ 写真2

1994年

慶應義塾大学経済学部卒業

1997年

慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了

2005年

ロンドン大学SOAS Ph.D. (History)取得

大阪大学大学院経済学研究科講師、慶應義塾大学経済学部准教授を経て2013年より現職

2017年

第60回日経・経済図書文化賞受賞

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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