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教員インタビュー
小西 祥文 写真1

教授 小西 祥文
実証ミクロ経済学、環境経済学

経済理論と経済実証の手法を駆使して地球規模の環境問題を解決する

研究テーマとその出会い

私の専門は、経済理論と経済実証の手法を環境分野における様々な研究テーマに融合的・有機的に応用することで、効果的かつ経済効率的な環境政策のデザインを考える分野です。Ph.D.を取得したばかりの頃は、どちらかというと応用理論的な研究を行っていたのですが、運良く採用されたWilliams Collegeの経済学部では、実証研究における「信頼性革命」の興隆期だったこともあり、多くの同僚がとても魅力的な実証ミクロ分野の研究を行っていました。当時自分が手掛けていた研究を、実証ミクロ的な視点から見つめ直すことが、今の専門分野へと転換するきっかけとなりました。

研究テーマの魅力、面白さ

私の専門分野では、環境政策の効果に関する「因果メカニズム」と「因果効果」をデータの中から丁寧に掘り出す(識別・推定する)ことを重視します。現実のデータを丁寧に見ていくと、一見すると経済的直観に反するものが、実は経済理論と整合的なことが見えて来たり、逆に見かけ上の整合性が異なる経済メカニズムや経済的直観と整合的だったりすることが分かってきます。現実の経済行動に関する極めて高度な謎解き問題を、経済理論と経済実証(計量経済学・統計的因果推論)の知見・手法を駆使して考えていくという思考プロセスが極めて魅力的だと思っています。しかも、思考プロセス自体が面白いだけではなく、丁寧な研究の結果が、現実の環境問題をより効果的かつ経済効率的に解決するような制度・政策のデザインに役立つことも私の専門分野の魅力です。

学生へのメッセージ

現在の科学的知見では、取り返しのつかない甚大な環境・経済被害を回避するためには、2050年までに世界全体の二酸化炭素の純排出量をゼロにすることが望ましいと考えられています。しかし、化石燃料に大きく依存してきた我々の社会を、クリーンで安全なエネルギーだけで賄える社会に変容するための道のりは極めて厳しいと言わざるを得ません。再エネ、蓄電、炭素回収・貯留技術、エネルギー節約的な交通・働き方など、様々な取組みを総動員する必要があります。しかし、現実の経済は、経済原則による慣性の塊のようなもので、一部の企業や家庭の努力でこういった社会変容を達成することは不可能です。全ての企業・家庭にとってそのような取組みが望ましいものとなるよう、効果的に制度・政策を整えていく必要があるのです。経済学は、そのための様々なツール・考え方を提供してくれます。ぜひ情熱をもって経済学を学んで下さい。

(2020年12月取材)

プロフィール

小西 祥文 写真2

2008年 ミネソタ大学応用経済学研究科よりPh.D取得

ゴールドマンサックス証券投資調査部、ウィリアムズ大学助教授、上智大学准教授、筑波大学准教授を経て2020年より現職

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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