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教員インタビュー
糟谷 大河 写真1

准教授 糟谷 大河
菌類(きのこやカビなど)の系統分類学,生物地理学

身近なところでも新たな発見があることを意識し,視野を広げながら専門性を
磨いていこう

研究テーマとその出会い

幼いころから生物や地学など,自然環境に関する分野に強い興味がありました。家の周りの雑木林や公園などを歩き回って,様々な生物を観察する日々を送っていましたが,中でも,ある日突然現れ,はかなく消えてしまう色とりどりのきのこたちを森の中で目にしたとき,その多様な姿かたちに感嘆しました。森の中に人知れず,様々な色や形をしたきのこがたくさん潜んでいるということに驚くとともに,地球上にはいったいどれくらいのきのこがいて,それらはどのように生きているのだろう,と疑問を持ち,大学入学以降,現在に至るまで菌類,特にきのこ類の多様性を明らかにすることを主な研究対象としています。

研究テーマの魅力、面白さ

きのこは,日々の食卓に彩りを添え,健康増進にも一役買っているなど,私たちの生活に身近な生物です。しかし,地球上には,私たちの想像をはるかに超える数の未知のきのこたちが潜んでおり,その多様性の全貌は明らかではありません。そこで私は,日本や中国東北部など,東アジアを中心とした地域の海浜,里山や亜高山帯・高山帯を主なフィールドとして,野外調査によりきのこ類の標本を収集し,形態的・生態的な特徴および遺伝子の情報をもとに,それらの系統分類や生物地理に関する研究を行っています。きのこの視点で自然界を眺めてみると,私たちのすぐそばにも未知の世界が広がっていることに気づきます。例えば,豊かな緑が広がる日吉キャンパスの中にも,名前がさっぱりわからない(=新種かもしれない)きのこが潜んでいたり,日本ではまだ記録されていないきのこがひょっこり現れたりするのです。海外や,普段なかなか行くことのできない山岳地帯や離島などで野外調査をすることも非常に魅力的ですが,このように,身近な場所でも次々と新たな発見が得られるところも面白いと感じます。

学生へのメッセージ

私は,主に生物学の講義や実習を通じて,自然環境の複雑さと地球上の生物の多様性,そして生物と環境とのつながりを実感し,理解できる場を学生の皆さんに提供したいと考えています。多様な事柄が複雑に関わり合うことで成り立っている自然界の姿を学ぶことは,人間社会における複雑性・多様性を理解し,互いを認め合うことにもつながります。大学生活では,多様な人,多様な分野とのつながりを持ち,時には遠回りしつつ,多様な経験を重ねることで,豊かな感性を育むことが大切です。学生の皆さんには,慶應義塾において論理的な思考力や表現力を養い,自らの目指す方向を見つけることを期待するとともに,専門性を磨きつつも幅広い視野を持ち,異なる分野へも積極的にアプローチすることを望みます。

(2019年12月取材)

プロフィール

糟谷 大河 写真2
                 

2007年

筑波大学第二学群生物資源学類卒業

2009年

筑波大学大学院生命環境科学研究科博士前期課程修了

2012年

筑波大学大学院生命環境科学研究科博士後期課程修了
博士(農学)

石川県小松市学芸員、千葉科学大学危機管理学部講師を経て2019年4月より現職

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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