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教員インタビュー
木村 福成 写真1

教授 木村 福成
国際貿易論、開発経済学

政策論への1つのアプローチとしての経済学

経済学部での教員生活の思い出について

経済学とのお付き合いの仕方は研究者ごとにさまざまなのでしょう。私の場合は、学部を出てから4年ほど政府開発援助(ODA)関係の調査研究で途上国のドサ回りをしたあと、何か学位をとって世界銀行等に職を得て開発問題に携わっていきたいと考え、そのために経済学の勉強を始めました。したがって、学問の進歩や真実の追究というよりは、道具としての経済学を使えるだけ使ってやろうというのが、私が一貫して持ち続けてきた姿勢でした。学問一筋の研究者には叱られてしまうかも知れませんが、経済学と現実社会とのギャップを埋める役割はある程度果たしてこられたのではないかと自負しています。

学生諸君にも経済学の有用性をわかってもらいたいと常に考えてきました。たまたま選んだ国際貿易論という分野に顕著な特徴だと思いますが、演繹的に経済論理を記述する理論があり、データに基づく実証研究との間の相互フィードバックを行いながら経済的メカニズムを考えていく、そして何らかの理論モデルに基づきカウンターファクチュアルを求めて政策論を深めていく、そういったアプローチは、混沌とした現実の1つの断面からの見方を提供するものとして大いに役立ちます。昨今、経済学の中でもdata drivenなアプローチが力を得てきていますが、経済論理あるいは理論の重要性というものが引き続き大切な要素として残っていってくれたらと思っています。

私の研究・教育上のテーマは、大きく括れば、グローバリゼーションの進展と国際分業の精緻化、それを支える国際貿易秩序の変容、新しい時代に即した発展途上国の開発戦略という3本立てでした。1990年代以降、東アジアにおいては、機械産業を中心とする国際的生産ネットワークが展開されてきました。そのメカニズムの解明には、国際貿易データや製造業センサスデータの分析に加え、途上国における工場訪問やインフラ視察が不可欠でした。工場の部品置き場に入り込んでどの部品がどこから何日かかって何で運ばれてきたのか、港での積み下ろしと通関そして国内輸送のどこで時間がかかっているのかを調べて回ったのは、何が起きているのかを理解するための大事なステップでした。その後、デジタル技術の実装が進んでくると、統計上も実視という意味でも何が起きているのか見えにくくなってきましたが、今、国際分業の形態が大きく変わりつつあることは間違いありません。地政学的緊張が高まる中、グローバリゼーションの終焉あるいはサプライチェーンの分断が叫ばれることも多くなっていますが、グローバリゼーションは技術が先導しているのですから、まだまだ終わりません。いかにしてグローバリゼーションの力を経済発展につなげていくことができるか、これからも考えていきたいと思います。

学生の皆さんには、経済学の有用性を認識しつつ、同時に経済学だけで全ての問題が切れるわけではないことも理解してほしいですね。平たく言えば、同じ1つの事象でも視点が変われば全く違うものが見えてくる、世の中にはさまざまなモノの見方がある、それを意識してどんな学問体系であれある程度客観視することが大事だと思います。その意味で、半世紀前にはいわゆる社会科学研究が盛んでいろいろ鍛えられたわけですが、今の学生諸君はそういったものに触れる機会があまりないのかなとちょっと心配しています。大学時代に是非、さまざまな学問分野に触れてみてください。

プロフィール

木村 福成 写真2

1982年

東京大学法学部卒業

1982年

(財)国際開発センター研究助手

1991年

ウィスコンシン大学にてPh.D.(Economics)取得

1991年

ニューヨーク州立大学オルバニー校経済学部助教授

1994年

慶應義塾大学経済学部助教授

2000年より同教授(2015~17年大学院経済学研究科委員長)

2008年より東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)チーフエコノミスト

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