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教員インタビュー
石川 昌治 写真1

教授 石川 昌治
数学(特異点論、
多様体の幾何構造)

定理や数式の意味を想像し、数学の正しい感覚を身につけよう

研究テーマとその出会い

特異点論と多様体論の研究をしています。特異点と最初に出会ったのは、学部の複素解析の講義でした。流体力学における2次元翼理論では、翼の周りの流体の動きが数式によって見事に記述されます。特異点とは情報が消えてしまう点なのですが、逆に、特異点自身の情報が流体の大域的な挙動を決定するという不思議な現象を見ることができます。大学院ではJ.W.ミルナーの超曲面特異点に関する専門書で特異点論を学び、特異点を使って空間や関数の動きを調べるという枠組みで研究を開始しました。大学院でのセミナーは、個々の学生が別々の研究題材を扱うというスタイルで、そこでは多様体論、結び目理論、力学系、組合せ論など、多くの数学を学ぶことができました。この多彩な経験は、今でも様々な場面で役立っています。

研究テーマの魅力、面白さ

特異点とは関数(より一般に、写像)の微分が消える点であり、数学だけでなく、ほとんど全ての学問において現れる研究対象です。カタストロフィー理論に代表されるように、経済学もその例外ではありません。また、多様体論は空間を把握する理論であり、この空間という概念も、すべての学問で扱われる研究対象になります。私の研究テーマはこれら2つの理論を融合させる位置にあります。私の研究の魅力は何と言っても「自由」なことです。特異点や空間といった概念はほとんどすべての研究分野に現れますので、研究の方向性や手法を自由に選ぶことができます。専門家にならないと分かりにくいことですが、数学の道具には「硬さ」という感覚があります。関数(特に複素関数)は固く、トポロジーは柔らかいです。さらにその中間的な概念もいくつも存在します。そういった道具の硬さを研究対象によって使い分けることで、研究の糸口が見つかり、新しい理論へと発展していきます。特異点論と多様体論はこの硬さと柔らかさの両方を自由に使える包容力のある研究分野で、自在に研究ができる格別の面白さを持っています。

学生へのメッセージ

大学では数学を講義や演習を通じて学びますが、その習得にはある程度の自習が不可欠です。机に向かって演習問題を解くという時間も(特に試験をクリアするためには)必要ですが、それ以上に、教科書や参考書を読んで定理や数式の意味を想像する時間を持つことが重要になります。時には一歩下がって、「この定理は結局のところ何が言いたいのだろう」といった漠然とした想像に時間を使ってみてください。最終的なゴールは、数学の正しい感覚を身につけることです。公式は暗記せずとも教科書に書いてありますし、複雑な計算はコンピュータが正確に答えてくれます。それらを正しく使えることこそ、我々に求められている能力になります。大学の講義で聞こえてくる先生の言葉の端々に、正しい感覚のヒントが隠れています。講義に良く耳を傾け、自分の中で数学を想像することで、正しい感覚を養い、実践力のある数学を身につけてください。

(2018年12月取材)

プロフィール

石川 昌治 写真2
       

1995年

東京大学工学部船舶海洋工学科卒業

1997年

東京大学大学院数理科学研究科修士課程修了

2001年

バーゼル大学 Ph.D.

2003年

東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了
博士(数理科学)

東京工業大学大学院理工学研究科助手、助教、東北大学大学院理学研究科准教授を経て 2018年より現職

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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