教授
田中 幹大
中小企業論、現代日本経済史・経営史
ものづくりの「現場」から日本経済を展望する
研究テーマとその出会い
日本の中小企業、なかでも製造業(ものづくり企業)を対象に研究をしています。当初は日本経済史・経営史の研究、特に日本の大企業体制の形成に関心がありました。しかし、大学院に進学して中小企業研究に出会ったときに、それまでに私が勉強していた大企業の理論とはまったく違う中小企業の独自の世界があることを知り衝撃でした。ちょうど歴史研究でもチャンドラー・モデル批判、産業集積史論、在来産業論など中小企業への注目が高まっていた時期でもあり、歴史的視点をもちながら現在の中小企業がどのようにして日本経済を支えているのか、その独自の論理を明らかにしたいと思うようになりました。
研究テーマの魅力、面白さ
日本の中小企業の技術力は世界から評価されてきました。近年、日本のものづくり産業の競争力は陰りがみられるようになったと言われますが、それでもなお、中小企業の根底部分の力は失われていないと考えています。どのような技術力をもち、どのようなビジネスモデルを構築しているのかを、中小企業の工場の観察や経営者へのインタビューを通じて調べています。中小企業の経営者は現場に近いところで、日々、色々なことに頭を悩ませています。現場に行って、経営者の生の声を聞くことでリアルな経営の実態を知ることができるのが面白いです。大学院生時から現在まで企業・工場調査を数百件あまり実施してきましたが、いまだ飽き足らないです。
学生へのメッセージ
これだけインターネット上に情報が溢れている社会であっても、「現場」に行って自分の目で見て、耳で聞かないと得ることのできない情報もあります。そうすることで情報の真偽がわかり、物事を正しく知ることができる場合もあります。「現場」に行くことも勉強のひとつということを是非知っておいてください。
プロフィール
2000年 |
立命館大学経済学部卒業 |
2006年 |
大阪市立大学大学院経営学研究科後期博士課程単位取得退学 |
2009年 |
博士(商学、大阪市立大学)取得 |
小樽商科大学商学部准教授、摂南大学経済学部准教授、立命館大学経営学部准教授、教授を経て2022年より現職 |
|
※プロフィール・職位は取材当時のものです |