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教員インタビュー
ミヤン・マルティン, アルベルト 写真1

専任講師 ミヤン・マルティン, アルベルト
翻訳学、日本近代教育史

世界の理解に繋がる「翻訳」と「教育」

研究テーマとその出会い

私の研究テーマは、明治初期の教育制度における翻訳教科書です。明治新政府が一般国民の啓蒙を図り新しい学校で行おうとした教育には、欧米諸国の政治的・経済的制度を紹介する目的もありました。その関係で世界の先進国から大量の教科書が日本に導入され、一部は日本語に翻訳されたのです。歴史的背景を調べながら原文と訳文を比較対照していくと、異国との文化交流がいかに社会の進歩を促進してきたのかが少しずつ見えてきます。その交流と進歩にいかなる限界があるのかも考察することが出来ます。そもそも翻訳学(翻訳論・翻訳史)という研究分野に興味をもったキッカケは、自分がスペイン語やカタルーニャ語が話される多言語社会の中で育ったことと、子供の時代から英語やフランス語を積極的に学んでいたことでしょう。また、日本の近代教育史に関心を抱いたのは、同じ子供の時に日本アニメの中で福澤諭吉の存在を知り、教育者でありながら最高額の紙幣に描かれている事実に感銘を受けたからです。

研究テーマの魅力、面白さ

私たちは毎日翻訳と共に生きています。学校で受ける教育は全て自分の文化で生み出された知識ではないし、世界を駆け巡るニュースも何らかの形で翻訳されてから私たちの元に届きます。観る映画も、読む本も、多言語で作られたものならすべて誰かに一定の条件の下で翻訳されたものです。その翻訳行為は必ず特定の目的があり、特定の翻訳方針に従って行われます。換言すれば、私たちの元に届く知識、ニュース、映画、書物などは、「翻訳」というフィルターにかけられてオリジナルからかけ離れた形で届くのです。そのフィルターがいかなるものであるか、それから私たちの世界の理解にどのような影響を与えてくれるかを研究することは、歴史や文化、人間そのものの一部を理解することでもある点が、翻訳研究の魅力だと思います。

学生へのメッセージ

慶應義塾は日本という近代国家を作り上げた「学校」です。それで国家体制と同様に、個人の人生もいろいろなことを「学びながら」作り上げられるのです。国も人も、危機の際に道を誤らないためには、世界の理解が最も必要なことです。慶應義塾での四年間は、人間社会の在り方、人生の生き方、他人との関わり方、ビジネスのやり方などを学ぶ期間にしてほしいと思います。但し、「学ぶ」には様々な形があることは忘れないでください。それから大学は、人生という「学校」のための準備でしかないことを、心に刻んでおきましょう。

(2017年1月取材)

プロフィール

ミヤン・マルティン, アルベルト 写真2

2005年

バルセロナ自治大学翻訳通訳学部卒業

2008年

大阪外国語大学大学院言語社会研究科博士前期課程修了

2011年

大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了

山口県立大学国際交流員、同志社大学グローバル地域文化学部助教を経て、2016年より現職

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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