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教員インタビュー
丹羽 雄一 写真1

准教授 丹羽 雄一
自然地理学、地形学、第四紀学

身近な土地の成り立ちの解読を通じて環境変動や自然災害を捉える

研究テーマとその出会い

私の専門は自然地理学です。愛知県西部から岐阜県南西部、三重県北東部にかけて、日本を代表する沖積平野である濃尾平野が広がっています。愛知県で生まれた私は大学生になるまで、この平野の上で過ごしてきました。高校の地理では、沖積平野が河川の氾濫や高潮を経験しながら形成されたことを学び、普段の生活では、遠くに見える山と普段過ごしている平野のコントラストに興味を惹かれました。こうしたきっかけから、地理学の観点から身近な土地の成り立ちを学びたい、という気持ちが芽生え、大学入学以降、現在まで、自然地理学の分野で沖積平野の形成過程やそこから推定される環境変動、大地の動きを研究しています。

研究テーマの魅力、面白さ

身近な土地のでき方の探求を通じて、人の一生よりも長期間で起こった様々な環境変動を解読できることが研究の醍醐味です。沖積平野は人口やインフラが集中している身近な土地です。この身近な土地ですが、地形図や空中写真をじっくり見ると、かつての洪水氾濫の歴史を記録した微地形を判読することができます。山地と平野の境界には活断層による変位地形(大地震発生の証拠)が見つかることもあります。平野を構成する堆積物を採取、分析すると、陸から海(海から陸)への環境変化や、洪水の際に形成される堆積物、地震性地殻変動に対応した地形変化などを読み解くことができます。また、沖積平野のでき方を研究することは、災害の歴史を読み解くことでもあり、防災や減災を考えるうえでも重要と言えます。

学生へのメッセージ

学生時代は幅広く学ぶことのできる貴重な期間です。ぜひ様々な分野の授業を受けて、多種多様な物事の捉え方に触れてみてください。私が担当している自然地理学の授業では、多様な時空間スケールで現象を捉える、という視点を重視しています。例えば、身近な土地のでき方を知るためにも、地球規模で生じる環境変動との関係を知る必要がありますし、地震や洪水に対する防災・減災を考える際には観測記録のある最近数10年間だけでなく、人の一生よりも長期間で関連する自然現象を捉えて、災害を引き起こす自然現象の現状や将来を考える必要があります。授業では、講義形式だけでなく、身近な土地を対象にした地形図や空中写真の判読など、体験型の内容も取り入れますので、楽しみながら学んでください。

(2022年1月取材)

プロフィール

丹羽 雄一 写真2

2007年

東京大学理学部地学科地理学課程卒業

2009

東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了

2012

東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了

東北大学災害科学国際研究所助教、中央大学理工学部助教を経て2021年より現職

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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