准教授
太田 淳
東南アジア経済史、
インドネシア近代史
成長著しい東南アジア経済をもっと深く知るために、その歴史を考える
研究テーマとその出会い
修士課程の時に東京国立博物館でアルバイトをして、南スマトラに輸入されたインド製の布を間近に見ました。その布にはスマトラ特有の模様が描かれていて、どうしてこんなものが作られたのだろうと思いました。その布が発見された地域に出かけ、その場所やそこに住んでいる人々がとても面白いと感じて、もっと調べてみようと思いました。
研究テーマの魅力、面白さ
人間の営みは、地理的・生態的環境のように人間が簡単に変えられないものに大きく規定されていて、その中でより快適に生きていく工夫を積み重ねていくことで経済の仕組みが生まれます。その仕組みの中から、さらに文化や政治が発展していくと私は考えています。現代の複雑な社会を作り出した人間の歴史的な営みと、その中で経済が果たした役割を調べるのが経済史ですが、それを追究するために大切なのは共感と直感です。何百年も前に書かれた資料を読んでいても、「この人物のこの行動は共感できる」とか、「この政策のアイデアは合理的だ」と直感する時があります。そうした感覚は、たとえ定説と違っていても、つなぎ合わせていくうちにより説得力のある説明になることがあります。そうやって自分が調べ感じたことをもとに、ある時代・地域の歴史についてそれまでの常識と違った見方やイメージを提示できるのは、経済史の醍醐味です。歴史イメージを少しでも精緻に、正確にしていくことで、その社会をより深く理解出来るようになるからです。
学生へのメッセージ
歴史の理解は多様です。ある現象やシステムが生まれた要因は、様々な角度から考えることが可能です。大学で学ぶ経済史は、暗記することではありません。何がより説得的な説明となるか、考えることです。資料や先行研究から得られる情報からどのような筋道で議論を展開し、どのような結論を導くかという考え方のトレーニングは、きっと社会でも役立つことでしょう。また、成長著しい東南アジアは、皆さんのほとんどが何らかの形で仕事上の関係を持つことと思います。自由に勉強できる大学生のうちに、ぜひ一度東南アジア経済史を勉強してみませんか。
(2017年1月取材)
プロフィール
1993年 |
早稲田大学第一文学部卒業 |
1996年 |
早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了 |
2005年 |
オランダ・ライデン大学大学院 Ph.D. 取得 |
アメリカ・ラトガース大学歴史学研究所客員研究員、 |
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※プロフィール・職位は取材当時のものです |