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教員インタビュー
牧野 邦昭 写真1

教授 牧野 邦昭
日本経済思想史

経済学・思想・日本史の学際的領域から現代社会を考えていきたい

研究テーマとその出会い

もともと地図や鉄道に乗ること、そして歴史が好きだったのですが、中学生の頃に経済学の初歩に触れて、それまで学んできた地理や歴史とは違った論理性を面白く感じ、大学では経済学を学ぶことにしました。しかしそのうちに「自分はなぜこうした経済学を勉強しているのだろう」と疑問を感じるようになり、自分がいる現代の日本から歴史をさかのぼる形で、近代日本の経済学とそれを取り巻く環境を研究するようになりました。

研究テーマの魅力、面白さ

私の主要な研究対象は1930-40年代の戦時期の日本における経済学者・経済評論家・官僚などの思想や活動です。この時期は経済学がイデオロギー対立に巻き込まれたり、総力戦の中で経済学者が政府や陸海軍に動員されたりする一方、戦時経済の運営のために「近代経済学」と戦後に呼ばれる経済学が形成されるなど、経済学が非常に大きく社会と関係し、変化していった時代です。そうした事例を研究していくと、必然的に経済学以外の思想を扱ったり史実を明らかにしたりするなど学際的な研究をすることになります。大変ではありますが、ある思想や出来事を深く掘り進めつつ、その周囲の「広がり」を考えたり、他とのつながりを「ネットワーク」的に考えたりしていわば「地図」を作り、それにより新しい知見を得られる面白さがあります。今後は福澤諭吉に始まる慶應義塾の経済思想にも研究対象を広げ、研究の知見を現代社会にも示せていければと考えています。

学生へのメッセージ

明確な目標に向かって一直線に進んでいくのも一つのやり方ですが、学生時代というのは「試行錯誤」や「無駄なこと」をすることが許されている期間でもあります。自分の体験を振り返っても、回り道をした体験や、直接役に立つことを目的とせず身につけた知識が後になって思わぬ形で役に立ったことがたくさんありました。経済学の理解を深める努力をすると同時に、様々な分野の教養を身につけ、また色々な体験をして、広い視野を持つようにしてほしいと思います。

(2022年1月取材)

プロフィール

牧野 邦昭 写真2

2000年

東京大学経済学部卒業

2005

京都大学大学院経済学研究科博士前期課程修了

2008

京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了 博士(経済学)

摂南大学経済学部教授を経て2021年より現職

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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