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教員インタビュー
栗野 盛光 写真1

教授 栗野 盛光
マーケットデザイン

市場のルールをデザインする

専門のマーケットデザインとは?

マーケットデザインは、ミクロ経済理論を専門家が周波数オークションや研修医マッチングの市場のルール(あるいは制度)をデザインするなかで1990年代から徐々に形成されてきた分野です。まだ認知度が高くないせいかマーケッティング・デザインとよく誤解されます。ただ単に自由な経済活動だけでは問題が生じることが多く、市場にはルールが必要になり、マーケットデザインはルールの細かな点まで検討するのが特徴です。まず理論的に検討し、デザインしたルールが理論通りに機能するか、また理論で未解決な点も検討するため、シミュレーションや実験も行います。この意味で、社会課題の解決を目指す実践的な分野と思います。

実際にデザインされた市場は?

私が主に研究しているマッチング市場では、日本も含めた世界各国の研修医マッチングや高校大学入学など学校選択が経済学者によってデザインされてきました。私自身が一責任者として関わったのは、筑波大学の進学選択、最近では2022年度から運用予定の本学の派遣交換留学選考方法です。後者では、今後の更なる協定校増加も見据えて、事務的負担を抑えながら、公平に学生を希望先に割り当て、効率的に(できるだけ学生の希望を満たす)ようにしました。いま取り組んでいるのは、予約システム、肺移植制度、次世代モビリティ市場、再生可能エネルギー市場などです。

これからのマーケットデザインは?

これまでマーケットデザインで取り組まれてきた市場は、すでに存在しているが、何らかの問題が発生しており、それを直すようにするものがほとんどでした。量子コンピュータなどエマージングテクノロジーが進展していくなかで、未来社会をどうしたいのかを考えながら新たな市場を創っていくことが、これからのマーケットデザインの課題と考えています。

学生へのメッセージ

日本では学部を卒業して、就職した企業でスキルを身につけていくことが普通です。これでは十分ではないときが来るかもしれません。そのようなとき、ぜひ大学に戻り、大学院で専門的知識を身につけて、新たな市場を創っていって欲しいと思います。

(2022年1月取材)

プロフィール

栗野 盛光 写真2

1997年

京都大学工学部土木工学科卒業

2009

アメリカ・ピッツバーグ大学経済学部よりPh.D.取得

ドイツ・マックスプランク経済学研究所研究員、オランダ・マーストリヒト大学経済学部助教、ドイツ・ベルリン社会科学研究所(WZB Berlin)研究員、筑波大学助教・准教授を経て、2018年より現職

2019年より慶應義塾大学経済研究所マーケットデザイン研究センター長を兼務

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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