教授
栗野 盛光
マーケットデザイン
経済理論を実践して、社会経済制度をデザインする
研究テーマとその出会い
私の分野は、ミクロ経済学の一分野であるマーケットデザインで、経済学で工学的なアプローチをとります。私は学部時代から博士2年まで土木工学に属したこともあり、強い工学的なバックグランドを持っています。経済学に転向後、純粋経済理論を研究しようとしていたのですが、何をしていいのかわからず迷っていました。ピッツバーグ大学博士課程に入学した当時はマーケットデザインの研究者が少なかったのですが、幸運なことに指導教員となるUtku Unverに出会い、マーケットデザインを学びました。捨てたはずの工学的アプローチが頭から離れなかった私が、工学的アプローチをとるマーケットデザインに出会い、急に研究者として道が開けました。
研究テーマの魅力、面白さ
マーケットデザインが対象とする市場は、欲する人と提供したい人が出会う場で、非常に広く、価格のない世界も対象とします。お金で解決できない大学入試制度、臓器移植も含みます。ミクロ経済理論は非常に理論的で、一見すると机上の空論に思えます。しかし、私は制度設計の際の技術ではないかと思います。実際の市場をよく観察すると、うまく機能しているものもあるし、そうでないものもある。機能している市場、機能不全に陥っている市場には、共通のものが多い。市場を設計する際には、いろんな可能性がある中で、現実的な制約を考慮してどのような制度が公平で、効率的でインセンティブの面から良いのかを考えます。これがより良い制度を設計する技術につながるのかなと思います。
学生へのメッセージ
自ら考えることが大事だと思います。宿題やレポート課題をしたり、新聞記事など読んだりして、いろいろな疑問が出てくると思います。そういうときは、他の本を読んだりせず、まずは自分の頭で、自分が持っている知識を総動員して、自分自身で考えて欲しいなと思います。このプロセスがその人の個性になるのではないかと思います。
(2018年12月取材)
プロフィール
1997年 |
京都大学工学部土木工学科卒業 |
2009年 |
ピッツバーグ大学経済学部よりPh.D.取得 |
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マックスプランク経済学研究所研究員、マーストリヒト大学経済学部助教、ベルリン社会科学研究所(WZB Berlin) |
※プロフィール・職位は取材当時のものです |