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教員インタビュー
櫻川 昌哉 写真1

教授 櫻川 昌哉
マクロ経済学 国際金融 国際政治経済学

「バブルの経済理論 長期停滞 低金利 金融劣化」を著して

研究テーマについて

この書はバブルをテーマとしています。米国で起きたリーマン危機を契機として筆が動き始めました。主流派の経済学の世界では、バブルはまるで何かの間違いで起きたかのようなおかしな出来事として取り扱われてきました。しかし、最も先端的な金融システムを兼ね備えた米国でバブルとその崩壊が起きたことは、バブルは普遍性を備えた現象に違いないという確信を私に与えました。そこで、バブルを中心とした経済学を考えてみようと思ったのがこの書の動機です。
内容は、バブルは“繋がっている”ということに尽きます。バブルは国家や地域を替えながら流転します。1990年代以降、資産バブルの重心は、日本から東アジアへ、そしてアメリカへと移動してきました。そしてさらに中国へ移動します。興味深いことに、その時時の経済の主役の交代とともにバブルの重心もまた移動しています。
では、バブルが崩壊した地域はその後どうなるのでしょうか。実のところ、その地域のなかでバブルは繋がりをもちます。バブル崩壊後、日本政府は景気回復を目指して拡張的な財政金融政策を繰り返してきました。需要創出で景気を刺激してきたかにみえますが、長い目で見れば、この政策がやってきたことは、資産バブルの暴落でできた空洞を、現金や国債というバブル資産で埋め合わせたにすぎません。皮肉なことに、別のかたちのバブルを創り出してしまったのです。果たして国債バブルは崩壊の憂き目にあうことなく存続できるでしょうか。

学生へのメッセージ

教育の現場で目指しているのは、学生の中にある「創造する脳」を刺激することです。私の教育方針は「覚えるな、考えろ」です。残念なことに、大学受験の世界では逆に「覚えろ、考えるな」が正しいことになってます。そのほうが試験で高得点をとれるからです。学生生活でもとめられるのは脳のリハビリ、つまり、結論から先に覚えてしまうことをよしとしてきた脳を、時間をかけて丁寧にじっくり考えることができる脳に修正することです。長い人生、順を追って論理的に考える能力は一生の宝となります。論理の流れを楽しめる柔軟な脳を手に入れれば、人生は実り多いものとなるでしょう。

プロフィール

櫻川 昌哉 写真2

1984年3月

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業

1988年3月

大阪大学大学院経済学研究科前期課程修了

1991年5月

大阪大学大学院経済学研究科後期課程単位取得退学

1991年6月

大阪大学経済学部助手

1992年4月

名古屋市立大学経済学部講師

1995年4月

名古屋市立大学経済学部助教授

2002年4月

名古屋市立大学大学院経済学研究科教授

2003年4月

慶應義塾大学経済学部教授(現在に至る)

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