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教員インタビュー
星野 崇宏 写真1

教授 星野 崇宏
計量経済学・行動経済学・マーケティングサイエンス

人工知能に置き換えられない“先を読み意思決定する力”を身につけるための学びを。

研究テーマとその出会い

専門は計量経済学と行動経済学で、応用分野としてマーケティングや教育経済学、経営の経済学なども対象にしています。大学入学時は理系で入ったので、今の自分の研究分野は当時想像もしなかったのですが、よりよい意思決定はいかに可能かということを研究するうちに今に至りました。

研究テーマの魅力、面白さ

“もしテストの前にもう少し勉強していたら”とか”あの友人と出会っていなかったら”、”転校していなかったら”など、個人的な”If~”と今の自分を比較して反省することはよくあると思いますが、この”If~”の発想は個人的な問題だけではなく、企業行動や国の政策にも適用できます。例えば、ある店舗で”売り上げが伸びた”として、その前に値下げをしていたら”値下げをしたから売上が伸びた”と考えがちですが、本当に値下げの効果でしょうか?
今は景気がいいから”もし値下げをしなくても売り上げは伸びていた”という”If~”が正しければ、値下げの効果はなかったことになりますね。つまり値下げ以外の他の要因を共通にした上での”If~”と現状の差、これこそが値下げをしたことの売り上げへの「純粋な効果」(=因果的な効果)といえます。私は調査や実験、行動データなどから因果的な効果を調べる統計学の研究をしています。

こういった統計学の適用範囲は広く、さきほどの値引きのような企業のマーケティング施策はもちろん、政府や自治体の政策、さらには医療における治療方法、教育での教授法や少人数学級など様々な分野の効果検証に使えるので、いろいろな共同研究にも参加しています。
さらに、例えば消費者が小さな値引きにはあまり反応しないのに同額の値上げには過剰に反応する、健康維持のために運動やダイエットをした方が合理的なのに先延ばししてしまう、などといった現象の背後に存在するヒトの意思決定の仕組みや傾向についての研究にも取り組んでいます。これが行動経済学といわれる、経済学がより現実の問題解決に役立つために必要な分野ですが、まだまだいろいろな研究課題が残されていてやりがいがあります。

学生へのメッセージ

最近“人工知能が将来的には多くの人の仕事を奪う”というような話がメディアなどで取り上げられていると思います。アメリカの大規模司法事務所や会計事務所などでは、法廷で戦える交渉力にたけた弁護士や経営環境の変化を読み込みコンサルができる会計士以外の弁護士や会計士は、過去の判例や事例を読み込み彼らの準備をする仕事をしていますが、その仕事が人工知能に置き換わりつつあるようです。このように、専門的な知識や資格があってもそれだけでは稼げない時代が到来すると予想されます。

しかし人工知能はあくまで過去のデータからパターンを見つけているだけで、企業間の経営戦略の読みあいや、技術環境が変わる中で先を読む、創造的に問題解決をする、あるいは意思決定をすることは不得意です。経済学では、“過去のデータだけで議論をしても、状況が変わって人々の期待や経済行動が変化したらその結論が的外れになる”(ルーカス批判と言われます)ことを踏まえた様々な思考のツールが用意されています。経済学部の提供するカリキュラムで鍛えられるものの見方や考え方で、変化の大きい時代に先を読み優れた意思決定をする力を身につけて頂ければと思います。

(2016年1月取材)

プロフィール

星野 崇宏 写真2

2004年

東京大学大学院総合文化研究科 博士課程修了 博士(学術)
情報・システム研究機構統計数理研究所助手、名古屋大学大学院経済学研究科准教授、東京大学大学院教育学研究科准教授を経て2015年より現職 行動経済学会常任理事

※プロフィール・職位は取材当時のものです

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