


准教授
森田 香菜子
環境ガバナンス・ファイナンス
ガバナンスやファイナンスの視点から持続可能な社会実現のための社会システムの変革に挑む
研究テーマとその出会い
私の専門は環境ガバナンス・ファイナンスです。これまで地球環境問題、特に気候変動や生物多様性の問題について、国連の政策と科学に関するプロセスに関わりながら取り組んできました。
地球環境問題は、子供のころから関心を持っていました。大学に入学してからは、開発途上国の気候変動対策を推進するための国際的な資金メカニズムについて、学部では経済学、大学院では国際関係論や国際開発学の研究手法を用いながら研究しました。大学院では、ツバル、フィジー、サモア、ベトナムといった気候変動の影響に対して脆弱な開発途上国での現地調査、国連気候変動枠組条約の会議への参加、オーストリアやアメリカへの留学を通じて、環境ガバナンス・ファイナンス研究の重要性を感じ、この分野の研究に取り組むことにしました。
研究テーマの魅力、面白さ
現在、持続可能な社会を実現するためには、個々の環境対策を推進するだけでなく、短期間で社会システムを変革することが求められています。私は、国際・国家・地方レベルの様々な制度や行為主体(国際機関、政府、民間企業、金融機関、非政府組織、市民他)との関係性も含めて、どのように社会システムの変革につなげられるか研究しています。環境ガバナンス・ファイナンスのスコープも広がっており、様々な環境問題との関係だけでなく、他の幅広い社会・経済の問題(人権、労働、安全保障、貿易他)との関係も考えていく必要があります。
現在行っている研究の一つでは、サステナブルファイナンス(持続可能な発展に貢献するファイナンス)の資金動員・資金供給から環境目標達成や社会システム変革に影響を与えるまでの一連の流れを分析して、気候変動と生物多様性問題の解決に貢献するサステナブルファイナンスの資金動員拡大と資金供給の要件、それらを実現する上でのガバナンスの課題やあり方を示すことを目指しています。この研究も含めて私の研究分野では、例えば経済学、国際関係論、環境科学などの多様な学問分野と実務的知見を融合させる超学際研究が求められています。そのため、多様な学問分野や行為主体の関係者と議論したり、様々な国々の現状を学んだり、問題解決に向けて科学と政策をつなげられるよう取り組んだりするなど、人とのつながりもとても重要な研究分野だと思っています。
学生へのメッセージ
私は、学部で経済学、大学院で国際関係論や国際開発学を軸とした研究をして、その後自然科学の研究が中心の研究機関でも勤務しました。その間に国連のプロセスだけでなく、東南アジアの開発途上国の現場なども訪れました。当時はつながりがよく見えていませんでしたが、これらの全ての勉強や経験が今の研究や活動に生かされていると感じています。
学部・大学院では、ぜひ幅広い学問分野や行為主体の関係者とも話をして、そして色々な国々で何が起きているのか、どのような国際的な議論が行われているのかということなどにも目を向けて視野を広げていただきたいです。
プロフィール

2004年 |
慶應義塾大学総合政策学部卒業 |
2006年 |
東京工業大学大学院社会理工学研究科博士前期課程修了 |
2010年 |
東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了 博士(学術) |
国立環境研究所特別研究員、慶應義塾大学大学院特任講師、森林総合研究所主任研究員などを経て、2024年より現職。 |
