
教授
上原 崇人
数学(複素幾何学・代数幾何学・力学系)
単純さと複雑さの調和:広範な視野が今後の武器になる
研究テーマとその出会い
私の研究分野は複素多様体や代数多様体における力学系理論です。この分野に魅了されたのは、大学時代の講義で目にした「マンデルブロー集合」とよばれる図形の鮮烈なビジュアルがきっかけでした。中学生でも理解できるほど単純な2次写像を用いて繰り返し計算するという、極めてシンプルなルールから、自己相似性を持つ無限に複雑な図形が描き出されます。この単純さと複雑さの対比に衝撃を受けました。
研究テーマの魅力、面白さ
この分野の面白さはカオス(混沌)を数学という厳密な言語で解き明かす点にあります。一見すると予測不能でバラバラに動いているようにみえる点たちが、複素解析学や代数幾何学の理論を用いることで、実は極めて精緻な構造に従っていることが明らかになります。数式の上では数行でかける現象が、一歩踏み込むと隅々にまで計算し尽くされたかのようなフラクタル構造をみせてくれるのです。この「単純さと複雑さの調和」を理解し、新たな理論を打ち立てるためには、広範な数学的知識が必要となり、理論の習得は容易ではありません。しかし、積み上げた論理がパズルのピースのように噛み合い、目の前の霧が晴れるような鮮やかな研究結果が出たときの喜びは、何物にも代えがたいです。
学生へのメッセージ
数学の面白さは、一見無関係に見える概念同士が繋がり、世界の見え方が一変する瞬間にあります。しかし、その隠れた繋がりを見出すためには、個別の知識を深めるだけでなく、複数の概念を俯瞰して捉える力が必要です。先に述べたように、「単純さと複雑さの調和」を深く理解するためには、広範な視野が欠かせません。
そして大学生活において何より重要なのは、数学に限らず多様な価値観や未知の領域に触れ、自分の視野を広げることです。一見、無関係に思える経験や失敗も、後になって思わぬ形で人生の選択を支えてくれるでしょう。何にでも挑戦できるこの貴重な時間に、知的好奇心の赴くまま、多くの世界へ飛び込んでみてください。そこでの経験が、あなたという人間を形作る唯一無二の財産になるはずです。
プロフィール

2004年 |
九州大学理学部卒業 |
2007年 |
九州大学大学院数理学府修士課程修了 |
2010年 |
九州大学大学院数理学府博士課程修了 博士(数理学) |
りそな銀行年金信託部、北海道大学理学研究院研究員、東北大学大学院理学研究科助教、新潟大学工学部助教、佐賀大学理工学部准教授、岡山大学大学院自然科学研究科准教授を経て2025年より現職 |
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