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教員インタビュー
前島 和也 写真1

教授 前島 和也
フランス語,言語学概論,自由研究セミナー(「文法学の歴史」)

「今日の事実は昨日の理論」— テクノロジーと学術・教育の明日

経済学部での教員生活の思い出について

私が担当したのは経済学部フランス語初級・中級の文法ならびに講読の他,大教室での講義「言語学概論」や少人数向けの「自由研究セミナー:文法学の歴史」などです.1年生のフランス語授業では,シュメール以来の常套句とされる「近頃のわかものと来たら…」とは裏腹に,外国語その他に対する興味は今日の青年にあっても全く衰えていないことが分かりました.学部横断の講義とセミナーでは熱心な受講生から予想外の質問を受ける度に刺激をうけたものです.
義塾に就職した年辺りからパソコンが急速に普及して,インターネットが必需品となり,さらに近年は人工知能(AI)が教育の場でも活用されるようになるなど,私たちの生活は大きく変貌しました.文法学史を研究し,19世紀前半から20世紀前半の蒼古とした文献と日々過ごして来た者にとって,嘗ては内外の図書館や古書街を歩き回って漸く出会えた書籍がいとも簡単にダウンロードできる現状は驚くばかりです.
理論物理学者ピエール・デュエーム(Pierre Duhem, 1861-1916) に帰せられる言葉に « Les faits d’aujourd’hui sont construits avec les théories d’hier. » があります.「今日の事実は昨日の理論からなりたっている」と云うのは,「こんにち空論とされるものがやがて事実となる時が来る」,さらに「想像と現実を往還する人間が,事実そのものに到達することはない」と読み換えることもできるでしょう.どこかで聞いたような話かも知れませんが,学術研究に終わりがないとすれば,それは対象化を離れた実体は存在しないことに起因するのではないでしょうか.
今後も技術革新により外国語を含めた大学教育は相当の変容を迫られることでしょうが,異質なものを照合することで新たな視点を拓いて来た人間の知性がテクノロジーに凌駕されることはないことを信じています.

プロフィール

前島 和也 写真2

1994年

パリ第7大学大学院理論・形式言語学専攻博士号取得.

1995年

早稲田大学文学研究科フランス文学専攻博士後期過程満期修了.

1995年

慶應義塾大学経済学部助教授.

2005年

同教授(現在に至る).

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