准教授
大嶋 えり子
フランス政治、国際関係論
政治的なせめぎ合いから見えてくるもの
研究テーマとその出会い
大学進学まで、私は日本以外にベルギーとフランスで長く暮らしました。ベルギーはフランス語以外にオランダ語とドイツ語が公用語で、フランスにはさまざまなルーツを持つ移民やその子孫がおり、多様な文化が織り交ざる社会を豊かで楽しいものだと感じていました。しかし、ベルギーにおけるフランス語話者とオランダ語話者の対立や、フランスにおける排外主義的政党の人気を前に、そのように思っていない人がいることを子供ながらに知りました。そうした経験から、文化をめぐる制度、さらには他者を排除したり、差別したりする現象に関心を抱くようになりました。
具体的には、法律学科ではユダヤ人迫害への加担のためフランスの国内法で人道に対する罪で裁かれたモーリス・パポンの裁判に注目し、専門を政治学へと変えた修士課程ではフランスにおける極右政党の台頭を取り上げ、博士課程ではフランス政治におけるアルジェリアの植民地支配と独立戦争に関わる記憶を扱いました。現在はフランスにおける移民に関わる言説を研究しています。
研究テーマの魅力、面白さ
「人権の祖国」たるフランスの政治家はたびたび自身の主張を補強するために「普遍主義」を掲げます。でも、その主張が普遍的といえるかと立ち止まって考えてみると、必ずしもそうではなく、むしろフランス的でローカルな思考であることがしばしば見受けられます。こうした、フランス社会の矛盾そのものや、矛盾を抱えながらも課題を乗り越えていこうとする諸勢力のせめぎ合いを検討することで、より公正な社会へのヒントを得られるのが、フランス政治研究の面白さだと思っています。
学生へのメッセージ
大学に在籍している間は、さまざまなテーマや領域に触れてほしいと思っています。その過程で、好きなことや楽しいと感じることのみならず、嫌いなことや苦手なことも発見できるでしょう。嫌いなことを避けたり、苦手意識を強化したりすることは必ずしも好ましくない一方で、嫌いなことや苦手なことを知ることは、自分をよりよく知るきっかけになります。ご自身を知る手立てを大学で得てください。
プロフィール
2007年 |
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、証券会社入社 |
2011年 |
早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了 |
2017年 |
早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学、博士(政治学) |
早稲田大学政治経済学術院助手、金城学院大学国際情報学部講師を経て2023年より現職 |